王侯貴族はピリついている

父が買ってきた昆布佃煮をご飯の間に挟む。同じく父が買ってきたスーパーのアジフライもあったのにピーマン肉巻きも何となく作ってしまった。魚と肉が入ってるなんて王侯貴族みたいじゃのう。

先日行ったお菓子屋の店主はホワホワした見た目で小鳥のように話す女の人だった。

ああいう人はたまにいる。そして不思議だ。

ああいう人って、あと、王侯貴族みたいなやんごとなき人たちとかも、足にゴキブリがひっついたり、ネズミが足元を走ったら私みたいにギャーとかウォーとかいうんだろうか。やっぱり小鳥みたいだったり口角をあげて微笑んでいるんだろうか。

いつも穏やかな気分で平常心を保つ技に長けているのだろうか。

子どもらに聞いたら、どうだろう、やっぱりウォーとか言うんじゃないのかな。皇族んとこはそもそもそんなゴキブリとか出ないだろうとなだめられる。

母にも聞いたら、何言ってんの皇族なんてああ見えて心中穏やかでないのよ、いつでもピりついてるに決まってんじゃない。ゴキブリ位どうということもないのよと言う。

なんでそんなことが気になるかといえば自分がいつも平常心ではないからだ。

20年も前の話。人づてで漢方医に診てもらう機会があった。

薬草や何かの皮など沢山干してある暗い店内でお腹を押したりじっと顔を見て、幼い時から乗り物酔いをしたかなどいくつか聞いたあと「腎虚」と書いた。

高額のため一度きりしか行かなかったけど、後から調べてそうだなぁと思う。生命力が薄いんだろう。

踵がダヨンとしてるのも冬や冷えが嫌すぎるのも、海藻や黒い食べ物が好きなのもそうだろうし、何でもないことを恐れたり、些細なことに驚きやすくなるのも特徴だ。

先日仕事で失敗をした。17時付近にいつも失敗する。疲れて面倒くさくなるからだ。17時から19時は腎の時間だ。本当はこの時間に私はもう寝たい。

と何でもかんでも腎のせいにしてみる。

満月が欠けている読む。緑内障の本だ。

穂村弘の本はいくつか読んだけど臆病で自分みたい。多分この人、腎虚だなといつも思う。